シトクロムP450における触媒反応の多様性の原理の解明と機能予測モデルの構築

研究者紹介

研究代表者
近藤 寛子
北見工業大学
工学部

研究概要

シトクロムP450はモノオキシゲナーゼ反応を触媒する酵素のスーパーファミリーである。代謝や生合成において必要不可欠な存在であり、基質も触媒する反応も多岐にわたる。本研究では、シトクロムP450におけるアミノ酸配列・活性部位の立体構造・触媒反応の関係を明らかにし、アミノ酸配列または活性部位の立体構造から触媒反応を予測する方法論を確立することを目的とする。まず小規模なデータセットを対象に統計解析手法や機械学習手法を用いて活性部位の立体構造と触媒反応の相関の解析を行った後、得られた結果について量子化学計算を実施することにより物理化学的な解釈を行う。続いて、触媒反応予測モデルの構築に向けて、より多様なタンパク質に対する反応予測を可能にするために機械学習用データセットの拡張に取り組む。得られたデータセットをもとに、アミノ酸配列または立体構造から機能を予測するモデルの構築を目指す。シトクロムP450については数多くの遺伝子が見つかっているが、機能的な特徴づけが行われているものは僅かである。シトクロムP450における配列・構造・機能相関の知見が得られれば、機能未知の遺伝子についての触媒反応予知につながるとともに、酵素の機能改変などタンパク質工学にも応用可能な有益な知見が得られるはずである。解析の過程で得られたデータセットは公開予定であり、シトクロムP450および生合成科学の研究推進に貢献したい。