深層学習モデルに基づく高速・高精度なテルペン環化反応の生合成経路の予知

研究者紹介

研究代表者
LEOW CHEESIANG
山梨大学
大学院総合研究部

研究概要

本研究は、最大の天然物化合物群であり、医薬資源としても極めて重要なテルペン化合物の生合成経路を高速かつ高精度に予測する深層学習モデルの開発を目的とする。テルペンは8万種以上の化合物が知られ、その多様性ゆえに新規医薬品創出の源泉となるが、複雑な環化反応機構の全容は未解明である。従来、これらの反応機構は高精度な量子化学計算(DFT計算)によって解析されてきたが、計算コストが極めて高く、大規模な解析には適さないという課題があった。そこで本研究では、グラフニューラルネットワーク(GNN)や拡散モデル、大規模言語モデル(LLM)などの深層学習技術を活用し、テルペン環化反応におけるエネルギー予測、遷移状態構造予測、反応中間体を含む全反応経路の予測モデルを構築する。これにより、従来は数週間を要した反応経路の解析を瞬時に実行可能とし、新規天然物創出や生合成機構の包括的理解、さらには有用代謝物の予知・設計へと展開する。深層学習による加速的かつ網羅的な反応予測技術は、生命科学・創薬分野における革新的な研究基盤となることを目指す。