A01-2 特異な骨格構造を持つ植物由来ステロイドの⽣合成メカニズム解明

研究者紹介

研究代表者
渡辺賢二
静岡県⽴⼤学
薬学部

研究分担者
岡本拓実
静岡県立大学
薬学部

研究概要

野生株と有意差のないジャガイモシストセンチュウ高孵化系統が15系統、水道水と有意差のない低孵化系統を20系統を用い、高孵化系統群と低孵化系統群のゲノムを比較解析することによって、低孵化系統群に特異的な変異領域を特定し、その領域に含まれる遺伝子を生合成遺伝子の候補とする。また、solanoeclepin A (1) の基質は現時点ではcycloartenol (3)と予測している。化合物3はglycinoeclepin A (2) の全合成における出発原料であること(Corey and Hong. JACS 1994)、さらに1と2の共通中間体と考えられる5員環エーテルおよび7員環構造を酸で難なく作り上げることができる点 (Sakamaki, et al. Heterocycles 1990.) から推定した。そこで、3にオレフィンを導入すsterol-C5-desaturase (STE1/DWARF7, AT3G02580)およびBaeyer–Villiger monooxygenase(CYP85A3)遺伝子を欠損させた株を作製し、その株と1と2の生合成分岐点の合成中間体を用いたfeeding assayによる孵化率の回復を観察することで、化合物1の基質が化合物3であることを調べる。その結果を足掛かりに1の生合成経路および全生合成遺伝子を特定し、遺伝子組換え微生物による発酵的生産法を確立し1を大量供給し騙し打ち農薬とする。さらに見出された生合成遺伝子を欠損させた変異株をジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種として世に出す事を最終目的とする。