A02-2 計算科学の利活⽤による未知⽣合成経路の解明と未踏天然物の創出

研究者紹介

研究代表者
内山真伸
東京⼤学大学院
薬学系研究科

研究分担者
佐藤玄
山梨大学
工学部

研究概要

A02 班の内山グループでは、近年発展が著しい「量子化学計算」を活用して、未知生合成経路の解明と未踏天然物の創出に取り組みます。
天然物の生合成は多段階・複雑反応であり、単離できない不安定中間体を多く含むため、実験化学的手法のみではその全容解明が困難な場合も少なくありません。そこで、内山グループでは、最新の高精度量子化学計算を駆使し、生合成機構の全貌解明や反応経路の可視化を行います。
テルペン環化酵素は、共通の基質から多種多様な骨格構造を生み出すことで知られています。本領域内のA01班をはじめとする実験グループと綿密に協力して、様々なテルペン環化反応などの酵素反応・生体反応について、反応経路の可視化に基づく、不安定中間体・遷移状態・軌道相互作用の系統的な探索を行い、天然物の構造多様性の起源を解き明かすことを第一の目的とします。
天然物の生合成において「仕上げ」を担う酸化酵素は大胆な骨格転移や酸化的官能基化を触媒し、構造多様化を実現しています。本研究では、酸化酵素についても反応機構解析を進め、理論計算によって得られた情報に基づき酵素・生合成経路を再設計・改変し、A03班との共同研究を通じて、天然には存在しない未踏天然物の創出を目指します(第二の目的)。さらに、得られた量子化学計算・実験データをA02班で活用し、AIを用いた未踏天然物の探索を目指すことを第三の目的とします。