A02-3 予測構造に基づく基質・反応特異性予測法の開発
研究者紹介
研究代表者
寺田透
東京⼤学大学院
農学生命科学研究科
研究分担者
森脇由隆
東京大学大学院
農学生命科学研究科
研究概要
当グループでは、生体反応の集積を担うA01班から提供を受けた生合成関連遺伝子産物のアミノ酸配列について、高精度タンパク質立体構造予測プログラムAlphaFoldを用いて、立体構造を予測します。本研究で使用するAlphaFoldの高機能版ColabFoldの開発には、研究分担者の森脇が貢献しています。続いて、Protein Data Bank(PDB)に登録された機能既知の実験構造と、予測構造の構造比較を行い、活性中心や基質ポケットの構造類似性に基づいて機能推定を行います(経験的アプローチ)。機能既知タンパク質との構造類似性が見られないタンパク質については、予測構造に基質や補因子などをドッキングし、MDシミュレーションを実行して精密化した後、量子化学計算を用いて触媒機構解析を行います(理論的アプローチ)。
触媒機構は複合体構造の精度に敏感なため、当グループではこれまで、高分解能の結晶構造を用いて触媒機構解析を行ってきました。予測構造を用いて適切な活性化エネルギーと反応経路を得ることができれば、用いた予測構造が正しかったと結論付けることができます。理論的アプローチの枠組みは、酵素の改変による基質特異性や反応特異性の変化の予測にも適用できます。生体反応の創出を担うA03班から、改変対象の酵素のアミノ酸配列の提供を受け、複合体構造予測と反応機構解析を行います。これにより、A03班による機能拡張酵素設計の効率化を図ります。