マメ科植物におけるエクレピン類生合成機構の解明

研究者紹介

研究代表者
秋山 遼太
理化学研究所
環境資源科学研究センター
研究概要
シストセンチュウは作物の根に寄生して大幅な減収を引き起こす最重要害虫である。シスト卵は、寄主植物の根から分泌される寄主特異的化合物を孵化促進物質として感知し、孵化・感染することが知られている。インゲン豆からは、マメ科特異的なダイズシストセンチュウに対する孵化促進物質として、グリシノエクレピンA/B/Cの3種が、またジャガイモ水耕液からは、ナス科特異的なジャガイモシストセンチュウに対する孵化促進物質としてソラノエクレピンA(SEA)が、それぞれ単離・構造決定された。これらのエクレピン類は、シストセンチュウ防除の鍵となる農業上極めて重要な分子であると同時に、非常に複雑な構造を有しているため、その生合成経路は未知の反応の宝庫でもある。しかし、それらの存在量は非常に微量であることから、これらの報告例以降、エクレピン類の検出や生合成などの報告例は皆無であった。我々は世界に先駆けてジャガイモシストセンチュウに対する新規孵化促進物質としてソラノエクレピンB(SEB)の単離構造決定、および、5 つの生合成遺伝子を同定した。一方、マメ科植物のエクレピン類の生合成については未だに不明である。本研究では、我々のこれまでのナス科のエクレピン研究およびステロイド化合物研究の知見を基盤として、マメ科など多様な植物種におけるエクレピン類の生合成機構を解明することを目的とする。
