糸状菌由来新規酸化酵素ファミリーの機能開拓

研究者紹介

研究代表者
尾崎太郎
東北大学
薬学研究科

研究概要

本公募研究では、糸状菌由来新規酸化酵素ファミリーUstYaを指標としてゲノムマイニングを行い、新規天然物の獲得及び本酵素群の機能開拓を目指す。

UstYaは、糸状菌由来ペプチド系天然物の生合成に見出された機能未知蛋白質である。これまでに、遺伝子破壊や異種発現などの遺伝学的な実験からペプチドの酸化的エーテル環化やヒドロキシ化、不飽和化、塩素化等多様な分子変換に関わることが報告されている。類似の反応を触媒し、機能がよく知られているシトクロムP450や非ヘム鉄依存性酸化酵素等とはアミノ酸配列の相同性を全く示さないことから、新しいタイプの酸化酵素だと考えられる。しかし、これまでに生化学的な解析は行われておらず、立体構造も未解明であるため、機能の詳細は不明である。解析例が少なく、配列の比較や構造に基づく機能予測も困難であるため、糸状菌ゲノム上に多くのホモログが見いだされながら利用が進んでいない。本研究では、UstYaの探索と解析を進めることで、このユニークな酸化酵素群に関する知見を集積する。特に、これまで知られているペプチド系天然物に加えて、テルペノイドやポリケチドなどの生合成遺伝子クラスターに存在するUstYaホモログに着目し、それらの機能を解析する。新規ホモログの機能解析や既知酵素との比較・分類を進め、配列に基づく機能予測を可能とするための基礎的な知見の獲得を目指す。