機械学習と実験の融合によるPLP依存性酵素の酸素反応性予測モデルの開発と機能予知

研究者紹介

研究代表者
野口智弘
産業技術総合研究所
情報・人間工学領域

研究概要

本研究の目的は、PLP (ピリドキサールリン酸)依存性酵素を対象とした、機械学習による効率的な酸素 (O2) 反応性の改変と酸素反応性予測モデルの作成による、新規な酸素反応性PLP依存性酵素酵素の網羅的探索である。

PLP依存性酵素は全酵素反応のうち4%程度を占める巨大な酵素群であり、脱炭酸、アミノ基転移など多様な反応を触媒するため、天然物の構造多様化にとっても重要な酵素が含まれる。一方で、酸素 (O2) を用いた酸化反応を触媒するPLP依存性酵素の例は少なく、特に正反応として酸素を利用する酵素は最近になって発見されてきた。酸素反応性PLP依存性酵素は、系統的に異なる多くのサブファミリーに散在している上、酸素反応性に重要なアミノ酸配列特徴は解明すべき点が多く残されている。そのため、既存の相同性を指標にした探索や構造のみを基にした改変のみでは、新規な酸素反応性を十分に予測できない。

そこで本研究では依存性酵素を対象とし、機械学習と実験の融合によって、効率的に酸素 (O2) 反応性を向上させる酵素改変を行う。改変をおこなった酵素および既知の酸素反応性酵素のPLP依存性酵素の配列的特徴を学習することで、酸素反応性の予測モデルを作成する。さらに作成した予測モデルを用いて、データベースからの新規な酸素反応性PLP依存性酵素及び、新たな天然物構造の発見に繋げる。