ポリシストロニック遺伝子群の合理的構築を志向した短鎖連結配列の解析

研究者紹介

研究代表者
鈴木宏和
鳥取大学
工学研究科

研究概要

複数遺伝子を効率的かつ自在に調節しながら発現させる技術は,生合成科学の発展において重要と考えられる。遺伝子を人工的に発現させたい場合,一般にはプロモーター配列(P),シャイン・ダルガノ(SD)配列,対象遺伝子,およびターミネーター配列(T)からなる発現カセットを生物に導入する(上図)。複数の遺伝子を発現させたければ,発現カセットを並べればよい。ただし以下の理由から,この方法では複数遺伝子の発現を自在に設計するのは容易ではない:i)プロモーターが少ない。ii)mRNAの二次構造などを理由に発現量が設計通りにならない。iii)発現カセットの連結が難しい。およびiv)発現カセットの脱落が起こる。本研究では,複数遺伝子を効率的かつ調節しながら発現させるための新たな技術基盤の確立を目指し,ポリシストロニック遺伝子の合理的設計を可能にする短鎖連結配列(SN)を整備していく(下図)。研究成果が可能にする遺伝子発現には,以下の長所が期待できる:i)10塩基ほどの配列で遺伝子を連結するだけで良い。ii)遺伝子内部の配列を変える必要はない。iii)mRNAの二次構造の影響を受けにくい。iv)発現調節ができる。v)連続翻訳効率の高い連結配列が得られれば全遺伝子を効率よく発現させることもできる。vi)配列が短いことから遺伝子の連結が容易である。およびvii)相同組換えによる遺伝子の消失が起こりにくい。