人工低分子抗体を介した酵素機能改変による次世代型オリゴ糖プレバイオティクスの創出

研究者紹介

研究代表者
田中俊一
京都府立大学
生命環境科学研究科

詳細を見る

研究概要

ミルクオリゴ糖には様々な結合様式と重合度のものがあり、その構造的多様性こそが腸内有用細菌の選択的増殖促進作用や病原性微生物の感染阻害作用といった数多のプレバイオティクスとしての機能を発揮する基盤となっています。一方で、近年、ミルクオリゴ糖を模倣する「人工」オリゴ糖が広く実用されているものの、その製造に使われる酵素は直鎖型結合への特異性が高く、したがって、産生されるオリゴ糖の構造的多様性は乏しいのが現状です。そこで本研究計画では、人工結合タンパク質を利用する独自の酵素機能改変技術「Enzyme Engineering by Proxy」によってオリゴ糖合成酵素の特異性を分岐型結合へと制御・改変し、人工オリゴ糖の構造的多様性を拡張することで、次世代型プレバイオティクスの生産基盤の構築を目指します。目的に合わせた人工結合タンパク質の創出、オリゴ糖合成酵素の活性評価、産生オリゴ糖の構造・機能評価については盤石な基盤を整えています。

さらに本研究計画では、Ｘ線結晶構造解析を駆使することで、人工結合タンパク質がいかにして新たな特異性をもたらしているのか、その分子メカニズムの解明に取り組むとともに、オリゴ糖合成酵素以外の酵素群への展開も進めます。これらの成果は、A01班（集積）とA02班（予知）に対して有益な知見の提供が期待できます。