炭素をつなぐ:SAMT自在制御基盤の確立

研究者紹介

研究代表者
野田修平
神戸大学大学院
科学技術イノベーション研究科

研究概要

本研究では、メタノールを炭素供与基として、S-アデノシルメチオニン転移酵素(SAMT)の特異性及び活性を自由自在に制御することにより、既存の天然有機化合物に新たな炭素結合を導入し、極性官能基であるカルボキシル基を導入可能な酵素群の開発を行う。メタノールを用いたSAM再生系とSAMTを融合し、環境調和型のクリーンは炭素結合形成反応の開発を行う。最終的に、天然有機化合物の任意の芳香環に炭素結合を形成し、極性官能基修飾可能なSAMT及び追随する酸化還元酵素群の学術基盤を確立する。

具体的には、まず、天然有機化合物の任意の位置にC1炭素結合を導入可能なSAMTとして、3-ヒドロキシキヌレニンC-メチル(3HKCM)転移酵素に注目した。また、3-ヒドロキシ安息香酸(3HBA)のテレフタル酸への変換を例に取り、芳香環にカルボン酸を導入可能な酵素群を開発する。最終的に、C1メタノールを炭素供与基として、「フェニルプロパノイド・ポリケタイド(現時点では例としてオイゲノール、エンドクロシンを想定)などの天然有機化合物の任意の位置に炭素結合を形成・官能基の導入を可能にするSAMTの学術的理解と自由自在な制御」に向けた知見の集積を目指す。